恐るべきセットポイント説
セットポイント説は、「からだの体脂肪量は常に一定になるよう脳によってコントロールされている」というダイエッターにとって非常に残念な説です。
脳が目標にしている体脂肪量をセットポイントと呼び、人それぞれ異なる値が設定されています。セットポイントは基本的には遺伝子で決まってしまうようです。
体脂肪量がセットポイントより減ると、脳は食欲を強めて摂取カロリーを増やし、さらにからだを節約モードに切り替えて消費カロリーを抑えてしまいます。つまり、セットポイントから外れた体重を目標にしたダイエットは、目標を達成したあとも努力を続けなければ維持できず、脳の要求にしたがって生活していれば体脂肪(ひいては体重)は必ずセットポイントに戻ってしまうわけです。この説は動物実験で確認されており、ほぼ定説となっています。リバウンドは科学的に証明されている、ということですね。
「ダイエットを医学する」という本にセットポイント説がくわしく紹介されています。
- 作者: 蒲原聖可
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/07
- メディア: 新書
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すこし引用すると次のような調子です。三つ目なんか工エエェェ(´д`)ェェエエ工ですよ。強調はわたしが勝手にしました。
ダイエットによって体重を減らすことができる、という考えは、次の三つの誤った前提条件に基づいている。
まず最初は、どれだけの脂肪があるかについてからだはモニターしておらず、単純に過剰となった摂取カロリーが脂肪として蓄えられる、という誤解だ。次に、体重の増減には、食べ物をとるという行為が決定的な役割を果たしている、したがって、太った人々は標準体重の人と比べて明らかにたくさん食べている、という考えも正しくない。最後に、食べ物を摂取する行為やエネルギーを消費する行動が、我々の意思でコントロールできる、というのも誤りである。
この書籍については少々思うところがあるので、改めて書評でも書こうと思っています。
さて、ではセットポイントは変わるのか、が気になるところですが、調べた限りだと、セットポイントが変わることは今のところ科学的には確認されていないようです。あ、脳を破壊すれば変わるらしいですけどね。ちょっと嫌です。ネットで検索するとセットポイントが変わるという主張がちらほら見えますが、どっちかというと「変わってくれないと困る」という願望に近い話に聞こえます。
ダイエットに成功して低い水準で体重を維持できている人がいても、それをセットポイントが変わったことの根拠にはできません。その人が元々セットポイント以上に太っていた可能性のほうがむしろ高いからです。生物はその進化のほとんど全ての段階で食物が不足していた(というか獲得にかなり努力が必要だった)と考えると、セットポイントの機能は体脂肪が減らないよう維持するためのものなので、食物が常時手に入る状態ならセットポイント以上の体重を維持するのは比較的簡単なのかもしれません。
今のところ自分の認識は次のような感じですかね……。
- 体重がセットポイント以上の人のダイエットは達成して維持するのが比較的容易
- セットポイント以下の体重へのダイエットは維持のために相当な努力を続けなければならない
わたし個人的なダイエット目標体重は、これまでの推移から考えておそらくセットポイント以下なので、何かよい方法を模索していきたいと思っています。