『死なないぞダイエット』読んだよ

NHKためしてガッテン流 死なないぞダイエット 最新版

NHKためしてガッテン流 死なないぞダイエット 最新版

 

飲むだけで痩せられる薬などない以上、不特定多数のひとに勧められるダイエット法ってこんな感じのしかないんじゃないかな。「計るだけダイエット」というのを提唱してます。ひとことで言えば、「計ること」のさまざまなメリットをいろんな角度から主張した本、かな。基本は体重を計ることを継続のためのコツとするだけの地道な方法。というと聞こえが悪いですが、王道ですよね。かなりの良書だと思います。

 

なにごとも、やるならまずデータを集めて現状把握です。ダイエットでいえば体重測定。それも一日一回の体重測定じゃあ足りないんですよね。食事の前と後に計って違いを知っておくことなども大事です。あ、ウンコの前と後も計りたいですね! ウンコ誤差ありますからね。『死なないぞダイエット』には体重計はデジタル必須、できれば50g単位で計れるものを用意せよとありました。うちの体重計は100g単位のデジタルなんですが、たしかに50g単位で計りたいのは実感としてあります。食事やウンコの誤差をもっと正確に計ってみたいです。

 

そして、レプチンとかβエンドルフィンを取り上げて、「計ること」に科学的な理由付け。

レプチンによる脂肪量操作の呪縛(要するにリバウンド)をどうすれば逃れられるか、で、結論としてはシンプルだけど「ゆっくり体重を変える」というところに落ち着いています。これが正しいかどうかは微妙で、個人的にはいわゆるセットポイント説が正しくて「ゆっくり痩せる」とかはレプチンとの関連ではあまり意味がない可能性を捨てきれないんですが。ただ、この本で想定しているダイエットは表題どおり「死なないぞ」が目的、つまり、死ぬ確率が増えるほどデブな状態から正常範囲に戻すのが目的で、標準以下まで痩せる、という話ではないのですよね。であれば、セットポイント以上に太っている人がセットポイント状態に戻すための手法として有効という話になるかもしれません。

βエンドルフィンについては、食事による快感を、いかに別の方法で得るかという話ですね。そこに、体重を計ることによって得られる「成果がでていること」にたいする喜びをもってきているわけですが、そこはどうなんでしょうね。わからんでもないですが、取ってつけた感もあります。こういう観点からダイエットを考えたことなかったのですが、重要な視点だと思うので、これから調べていきたいところです。

うんこ誤差

ダイエットはじめたばかりで「◯日で1kg痩せた!」とか言う人たまにいますけどね……。それは全部、からだの中に残されたうんことか、蓄えられている水分量が減ってるだけなんですよ……。このよくある勘違いを多くの人に理解してもらうため、わたしはこれをうんこ誤差と名付けることにしました。ダイエットに励む人の間にこの言葉が広まり、より効果的なダイエットへと結びついてくれることを願っています。

ダイエットの基本は、(「摂取カロリー」ー「消費カロリー」)をマイナスにすること。これはもう議論の余地のないところです。で、1kgをエネルギーに換算すると大体7,000キロカロリー。この公式だけはしっかり覚えておきましょう。一日何も食べずに過ごせば250gほど痩せる計算です。

ただ、この公式にとらわれすぎると見失ってしまうことがあります。それは、同じモノを食べて同じ運動をしたとしても、人間の「摂取カロリー」や「消費カロリー」には個人差があり、その時々の条件にも大きく左右されること。そしてどうも、この変動の幅が、想像以上に大きいのではないか、というのが最近ダイエットを続けている中でずっと考えていることであります。

そのあたりの話題についてはまた別エントリで述べたいとおもいますが、とにかく言いたいのは、一日絶食しても減る体重はせいぜい250gであり、それを超える変動はうんこ誤差だということであります。

恐るべきセットポイント説

セットポイント説は、「からだの体脂肪量は常に一定になるよう脳によってコントロールされている」というダイエッターにとって非常に残念な説です。

脳が目標にしている体脂肪量をセットポイントと呼び、人それぞれ異なる値が設定されています。セットポイントは基本的には遺伝子で決まってしまうようです。

体脂肪量がセットポイントより減ると、脳は食欲を強めて摂取カロリーを増やし、さらにからだを節約モードに切り替えて消費カロリーを抑えてしまいます。つまり、セットポイントから外れた体重を目標にしたダイエットは、目標を達成したあとも努力を続けなければ維持できず、脳の要求にしたがって生活していれば体脂肪(ひいては体重)は必ずセットポイントに戻ってしまうわけです。この説は動物実験で確認されており、ほぼ定説となっています。リバウンドは科学的に証明されている、ということですね。

「ダイエットを医学する」という本にセットポイント説がくわしく紹介されています。

ダイエットを医学する―人類は丸くなっている? (中公新書)

ダイエットを医学する―人類は丸くなっている? (中公新書)

すこし引用すると次のような調子です。三つ目なんか工エエェェ(´д`)ェェエエ工ですよ。強調はわたしが勝手にしました。

ダイエットによって体重を減らすことができる、という考えは、次の三つの誤った前提条件に基づいている。

まず最初は、どれだけの脂肪があるかについてからだはモニターしておらず、単純に過剰となった摂取カロリーが脂肪として蓄えられる、という誤解だ。次に、体重の増減には、食べ物をとるという行為が決定的な役割を果たしている、したがって、太った人々は標準体重の人と比べて明らかにたくさん食べている、という考えも正しくない。最後に、食べ物を摂取する行為やエネルギーを消費する行動が、我々の意思でコントロールできる、というのも誤りである。

この書籍については少々思うところがあるので、改めて書評でも書こうと思っています。

 

さて、ではセットポイントは変わるのか、が気になるところですが、調べた限りだと、セットポイントが変わることは今のところ科学的には確認されていないようです。あ、脳を破壊すれば変わるらしいですけどね。ちょっと嫌です。ネットで検索するとセットポイントが変わるという主張がちらほら見えますが、どっちかというと「変わってくれないと困る」という願望に近い話に聞こえます。

ダイエットに成功して低い水準で体重を維持できている人がいても、それをセットポイントが変わったことの根拠にはできません。その人が元々セットポイント以上に太っていた可能性のほうがむしろ高いからです。生物はその進化のほとんど全ての段階で食物が不足していた(というか獲得にかなり努力が必要だった)と考えると、セットポイントの機能は体脂肪が減らないよう維持するためのものなので、食物が常時手に入る状態ならセットポイント以上の体重を維持するのは比較的簡単なのかもしれません。

 

今のところ自分の認識は次のような感じですかね……。

  • 体重がセットポイント以上の人のダイエットは達成して維持するのが比較的容易
  • セットポイント以下の体重へのダイエットは維持のために相当な努力を続けなければならない

わたし個人的なダイエット目標体重は、これまでの推移から考えておそらくセットポイント以下なので、何かよい方法を模索していきたいと思っています。

玄米

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玄米ダイエットは有名ですね。白米のかわりに玄米を食べるダイエット方法です。

前回、グリセミック指数について話をしましたが、玄米はグリセミック指数の非常に少ない食べ物です。「玄米 グリセミック指数」で検索してみるとGI値表がたくさんヒットします。それらによると精白米が85前後なのに対して、玄米は55前後となっています。うーん、精白米のグリセミック指数が、前回「パンとごはんどちらがよいか」で言及した白ごはんのそれと違うのが謎なんですが、そのへんを調べるのは今後の課題として、玄米<精白米であるのは間違いないようです。数値的には玄米の腹持ちのよさは本物ということですね。

さらに、「低インシュリンダイエット」という考え方があります。グリセミック指数が低いということは、血糖値が上昇しにくいということです。これが前述の腹持ちのよさにつながるわけですが、同時に、インシュリンの分泌を抑えることにもつながります。インシュリンには血中の糖の消費を促進する働きと、消費されずに残った糖を脂肪細胞に蓄える働きがありますので、インシュリンの分泌を抑えることで、糖が脂肪細胞に蓄えられるのを阻止するというのが低インシュリンダイエットです。グリセミック指数の低い食物にはこういう効果もあるのですね。

 

さて、今回は、実際に自分で玄米を購入して食べ始めてみました。実は玄米初体験です。この2種類を購入してみました。

ホクレン 北海道産 玄米 ゆめぴりか 3kg 平成24年産

ホクレン 北海道産 玄米 ゆめぴりか 3kg 平成24年産

24年福井県産 減農薬コシヒカリ 玄米:5kg

24年福井県産 減農薬コシヒカリ 玄米:5kg

ネットで調べると、玄米は白米にくらべて固いので炊く前に数時間のつけおきが必要とあります。なるほど。というわけで、最初は2時間のつけおきをしてから炊いていたのですが、だんだん面倒になってきて、ある日つけおきなしで炊いてみたら、さほど固くもなくおいしくいただけました。いまは以下のような条件で炊いてます。個人的にはこれでまったく問題ないのですが、私はごはんに関しては相当な固め好きなので、他の人にはちょっと固いかもしれないですね……

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  • つけおきは特にしない
  • 特別な機能はなにもない貧弱な炊飯器
  • 水の量は炊飯器に書かれている白米炊き時の分量

そして、自分で炊いてみて気付いた、玄米のもうひとつの効果。玄米って、炊いた後のボリュームが白米より断然大きいです。なんかふくらんでる。実際の量は同じでも、いつもよりたくさん食べた気にさせられます。この炊飯器は本来3合まで炊けるのですが、玄米3合は炊けないかも。

パンとごはん、どちらがダイエットによいか―グリセミック指数のはなし

ダイエット中の食事を考えるうえでカロリー計算が重要なのは言うまでもないですが、カロリーが同じでも体に与える影響が同じとは限りません。パンとごはん、より太らないのはどちらかを考える場合、カロリーの他にグリセミック指数(GI値)について知っておくのが大事です。

グリセミック指数とは、「炭水化物を摂取した直後の一定時間(2~3時間)内に血糖値がどれくらい上昇するか」をブドウ糖を基準(100)にして表したものです。多くの食品についてグリセミック指数を調べて表にしたものが、いくつも公開されています。

グリセミック指数と満腹感の関係は、実際の実験で確かめられています。それによると、グリセミック指数の高い食事は、低い食事とくらべて空腹になるのが速く、間食の量が増えたそうです。

で、じゃあパンとごはんのグリセミック指数は?ですが、ネットで調べると、たくさんのグリセミック指数表がみつかりますが、数値がまちまちで少々参考にしづらいです。これにはいくつか理由が考えられますが、グリセミック指数が食品の形状などによっても変化し(細かく砕いたほうが消化されやすく数値が上昇するなど)、また製品ごとにも差があるからでしょう。

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)

そこで、より信頼性の高いものをということで、こちらの本に載っているものを参照しました。これによると、炊いたごはんが50~59、食パンが70~79と、かなりの差があります。ごはんのほうがパンよりも腹持ちがよいことが、数値からも確認できるわけです。この表は大規模な調査をもとに作成された、かなり信頼できるもののようです。

 

というわけで、改めて結論を述べると、パンよりごはん!です。

 

上で紹介した本には、グリセミック指数に関する実験についてもいくつか紹介されているので、もうすこし詳しく知りたい方は是非読んでみてください。